アトピー/アレルギー以外の皮膚のコンディション悪化の要因を考える

繰り返し皮膚のトラブルを引き起こす原因は、アトピーやアレルギーだけではありません。

 

もっともやっかいなものは角化症/脂漏症です。

これは皮膚のターンオーバーや皮脂腺の分泌が生まれつきアンバランスなためにフケやかゆみが出てしまい、マラセチアや球菌が繁殖しやすくなります。

こまめにシャンプーして過剰な皮脂やフケを洗い流してあげることが重要で、頑固な皮脂を落とすためにシャンプー前にクレンジングを行うことが有効なケースがあります。

 

皮膚のコンディションを決定づけるものの1つに、食事中の栄養素があります。

とくに手作りフードのみで飼育しているワンちゃんは亜鉛が欠乏しやすく、フケが大量に出るようになることがあります。

手作り食は微量なビタミンやミネラルが不足しがちなので、注意が必要です。

 

中年齢をすぎたワンちゃんが急に皮膚のコンディションが悪くなる原因のひとつに、ホルモンのアンバランスがあります。

甲状腺ホルモンが不足したり、副腎皮質ホルモンが過剰になったり、性ホルモンのアンバランスがあったりすると、毛の成長が止まり、左右対称性の脱毛が出てきます。

ホルモンの失調自体では皮膚にかゆみや赤みはでませんが、コンディションの悪化によってマラセチアや球菌が増殖しやすくなり、問題を起こすことがあります。

ホルモンの病気は血液検査やレントゲン検査、超音波検査などで診断を行ったのちに、的確な治療を実施すれば皮膚の問題も解決するはずです。

 

それ以外にもいろいろな皮膚の病気はあります。

たとえば皮膚の構成成分を免疫細胞が間違って攻撃してしまう自己免疫疾患や、皮膚のガンなどです。

皮膚科診察では、通常とは異なる皮膚の病気を疑った場合、病変部を一部切り取って専門の検査機関に診断してもらう病理検査を実施することが一般的です。

 

皮膚科診察をご検討の方へ

皮膚病の診断は、よくある病気、治療しやすい病気から順番に疑って、診断を兼ねた治療を行っていく診断的治療や除外診断を積み重ねて確定診断にたどりつきますので、時間と労力がどうしてもかかります。

また完全に治癒する病気ばかりではないので、病気とうまくつきあっていくことが必要になることもあります。

ワンちゃんの皮膚コンディションに応じたスキンケアが有効なケースが多いので、当院ではシャンプーやスキンケア指導を積極的に実施させていただきます。

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