スキンケアで皮膚コンディションを維持する

さらに、アトピーを引き起こす環境中のアレルギー物質をできる限り皮膚から洗い流し、アレルギー物質が皮膚のなかに入り込まないような皮膚のバリアを補うために欠かせないのがスキンケアです。

スキンケアは、皮膚に有害な物質を洗い流す過程と、皮膚に有益な物質を補う過程からなります。前者はシャンプーを適切に行うことになりますが、一般的なワンちゃん用のシャンプーの成分の中には皮膚に有害な成分が含まれているものがあります。

さらに皮膚病の治療に使われる薬用シャンプーの多くは、皮膚にとって刺激性や毒性がある消毒成分や脱脂成分、また洗浄力が弱いものもあるため、必ずしも薬用シャンプーが有効でないケースもあります。

よって、シャンプーはしっかりとした洗浄力があって、なおかつ安全な成分でできたものが望ましいといえます。

またワンちゃんのシャンプーは毛を洗うのではなく、皮膚を洗うことが重要ですので、よく泡立てたシャンプーで地肌を軽くマッサージするように洗い、その後しっかりとすすぐことが大切です。

 

シャンプーの後は、皮膚に有益な物質を補う過程です。

アトピーの患者はセラミドや皮膚の水分保持成分が低下していることが証明されていますので、それらを補って正常な皮膚のバリアに近づけることが理論的には正しいはずです。

洗顔した後に化粧水をつけるように、アトピー肌のワンちゃんの皮膚にはシャンプー後に保湿剤を塗布することが有効です。

薬用シャンプーの中にはシャンプー中に保湿成分を含むものもありますが、保湿成分だけでなく洗浄成分も皮膚に残留してしまうので、皮膚に悪影響が出る可能性がありますので、分けておこなうほうがよいでしょう。

 

シャンプーと保湿剤を用いたスキンケアを継続的に実施することで、皮膚トラブルを起こしにくい皮膚環境を維持し、それでも赤みやかゆみが出た場合は適切な薬物療法を行うことで、進行性皮膚疾患であるアトピー性皮膚炎の増悪を食い止める。

さらにオメガ3脂肪酸などを含む食事やサプリメントを摂取することで体質改善も図る。これが現在考えられる最善のアトピー性皮膚炎の管理方法です。

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